■ - 60代　ボーナスタイムのあるきかた

転職してパートになり収入が減って困ったことに「美容院の費用」の問題がある。

みなさんどうしているのだろう。

もともとショートヘアだったので、３週間から１か月の間隔で美容院に行き、カットとカラーをしていた。毛量を保って髪の状態をよくするために半年に一回ボーナスごとに頭皮洗浄。年に数回特別なトリートメントをプラス。４０代からずっとそんな感じでお金を使ってきた。

数年間気に入って通っている美容院は、こぢんまりとした地元密着型の店。オーナーさんとも気心が知れていて快適だ。値段も良心的と思う。

しかし、お安めとはいえ、毎月１万以上美容院代がかかる。パート勤務になった私に年間もろもろ１５万円の美容費代は高すぎるのではないか。

夫は退職と同時に激安店「イ〇サ〇」に行きだした。カットが６９０円。

カラー１９８０円。友人の旦那様は退職後丸刈り４９０円を利用しているそうで、負けてしまった。

ものすごく安いし、女性も来ていると聞いたが、そこまでお安いと怖くて行く勇気はない。夫は残りの髪の毛も少ないため、それで十分らしい。

手始めに退職前から髪型をショート→ボブに伸ばすことにした。うなじの毛が上向きに生えているため、後ろは刈り上げる形にしていた。白髪がとても目立つだけでなく、自分では見えにくい。毎月カットしないと見苦しい。そこでボブにして、カットの回数を減らすこと目指した。

そして伸びてきた根元の白髪をいろいろなものを駆使してごまかす。ネットでしらべ、ユーチューブで美魔女様たちがどのようにしているのか研究した。

最寄りのドラッグストアで多くの根元用マスカラを試したし、頭頂部をポンポンするものも通販で買った。定着用スプレーも買った。

そうして頑張ってみたのだが、やっぱり痛々しい。美容院帰りとの差が大きすぎる。不器用でもあるからかうまくできなかった。

気がすすまないが、しかたなく美容院を変えることにした。

選んだ美容院は近所にチェーン店があり、予約もネットでできるようだ。お値段も今までの７割くらいのところだ。

今後カットを２か月に１回、カラーを毎月にすると、年間3万円は節約できるというのが私の考えだ。クーポンなどもあるし、ネットでポイントもつく。いろいろな支払いかたもできる。そういうものも全く興味がなかったが、パート職員になったこれからは、少しは意識していきたい。

しかし、勇気を出して行ってみると、荷物はコインロッカー、すぐにQRコードを差し出され、登録を促されるなど、若者向けのシステムに戸惑う。紙コップの飲み物、はじめの聞き取りでの頻繁な追加メニューの勧誘・・。

周りは若い客が多く、場違い感が半端ない。年配客だからか、ほかの客とは楽しそうに会話していても、話しかけられることもなく、静かに待つ時間がほとんどだ。無視とも言える。ちなみに事前のネットアンケートでは「静かがいい」でも「話したい」でもなく「こだわらない」的な回答にしていた。

しかし考えようによっては、Wi-Fiもあるし、スマホで好きな調べ物もできてかなり気楽でもある。役割分担があり、入れ替わり立ち代わりで人が来るが丁寧だし悪い気はしない。

待たされると口コミにあったが、それほどでもなく、仕上がりもこの時は許容範囲と感じていた。

しかし、よーく見てみると、耳掛けをする自分が一番困る「生え際」が染まっておらず、明らかに白髪が目立つ。ここを根元用マスカラで何とかするのが大変なのに、これでは意味がないではないか。今までの店では一度もなかった雑な仕上がりにため息をつくのであった

チェーン店というのはこんな感じなのだろうか。１０日以内のお直し券をもらったのを思い出すが、また予約をとって行くのは面倒だ。担当は気づいていないわけがない。あえてそのままだったと思う。安いというのはこういうことなのだ。その後毎日メールでクーポンが届くのも煩わしい。

「何事も３回試さないとわからない」と思っている私だが、どうしようかひたすら迷っている。思案しながら、毎日耳元をマスカラで染めているのである。次の店を探しながら。